親子間売買に伴う任意売却のご相談|神奈川県川崎市のM様から不動産相談
今回は神奈川県川崎市のM様からの任意売却のご相談です。
目次
1.ご相談内容
M様は自営業で、30年以上自宅兼工場で仕事をしておりました。金融機関から事業用の融資を受けており、毎月70万円の支払いがありましたが、昨今の製造業の不況で仕事が減り、ローンの返済がギリギリで「将来において不安を抱えており、何とか改善できないか」という相談です。
2.相談時の状況
- 借入残高4,050万円、毎月の支払い70万円
- 1Fが工場、2階、3階で兄弟それぞれの2世帯が住んでいた。
- 本人が60歳近い年齢で仕事のやる気はあるが、新たに何か別の仕事をする事は難しい。
- 建物は3階建の戸建てだが、1階と2階の半分、2階の残り半分と3階で区分登記されマンションの扱いになっていた。
- 破産はしたくない。
3.解決のポイント
- 依頼人との信頼関係がとても重要 ※全ての債務を告知して頂き、追加差し押さえ等が後から出てこないようにヒアリングします。
- 事業用ローンの為、銀行との支払いの交渉=倒産、に繋がる可能性がある。
- 建物が区分所有で2戸に登記されているので、1戸にする必要がある。
- かなりイレギュラーな建物の為、金融機関との連携が必要。
- 不動産を売却した後の税金等アフターフォローが必要
- 買主様へも物件についてのしっかりした事前説明が必要
4.親子間売買で支払い金額を大幅に削減
相談前の状況
30年以上続けてきた製造業が取引先の海外進出で仕事が減り、設備投資等、事業資金を借りたが返済に困っている。近い将来、滞納が始まり、倒産の不安を抱えていた。
会社倒産の可能性を踏まえ、息子名義で住宅ローンを組む
- 任意売却にしてしまうと事業資金なので、会社倒産の可能性がある。その為、借入金残高全額を全て返済しないと会社の存続が厳しい。ヒアリングした所、息子がサラリーマンで家を出ており家庭を持って社宅で暮らしていた。
- 本人と息子の間での親子間売買を提案。
- 息子名義で住宅ローンを組むことにし、金融機関と相談の上、進める事にした。
建物を1戸に変更し登記も変更
住宅ローンを組むにあたり、一番大きな問題が、建物が2戸ある為どちらか片方でしか住宅ローンを組むことが出来ない。そこで建物を1戸に変更する事にし、銀行、司法書士、リフォーム会社と連携し建物を1戸に変更し、登記も変更した。
その後、親子間売買で息子名義にし、1戸の住宅として住宅ローンを組むことができ、贈与・不動産取得税までしっかり対策して取引を終えた。
最終的に支配金額は当初支払いの毎月70万円から、毎月15万くらいまで減らすことが出来た。
5.不動産相談コンサルタント:山田のコメント
今回の件はかなりイレギュラーでしたが、金融機関・司法書士・リフォーム会社全ての方達の善意でうまく調整ができ、住宅ローンを組むことで毎月の支払いを減らす事が出来ました。
結果、事業用融資は全て完済し、会社も経費が減り、少ないながらも安定した収入の範囲で支払いが出来る状態になりました。会社は健全化し、安心して仕事を続けられております。
本人が真面目にコツコツ頑張って来た努力を息子や金融機関から認めて貰い、多くの関係者を得る事で再建が成功出来たケースです。
日頃からの姿勢が周りの人達に影響を何らかの影響を与えている事を、改めて感じた案件でした。