愛媛県にある実家の空家相談|神奈川県川崎市 Y様からの不動産相談
今回は神奈川県川崎市にお住いのY様からのご依頼で、実家の空家についてのご相談です。
このページの目次
- ご相談内容
- 相談時の状況
- 解決のポイント
- 売主・買主と協力の元、同時売却が成立
- 不動産相談コンサルタント:山田のコメント
1.ご相談内容
Y様の愛媛県松山市にある実家が空家になっているので、処分しようかどうか迷っているうちに今まで来てしまった。父も高齢なので、実家の管理が出来なくなってきている。どうしたら良いだろうか?と相談に来られました。
深く状況を聞いていくと、20年位前にY様のご兄弟が実家で自殺されたとの事。
「売るにしても、そんな状況の物件を売る事が出来るのだろうか?」
と言うお悩みです。
2.相談時の状況
- 実家は母屋の他、離れ、みかん倉庫がある。さらに、少し離れた場所に荒地になっている畑と山に、みかん畑がある。
- 20年くらい前にご兄弟が母屋でお亡くなりなった。田舎だし売る事が出来るのか?
- お父さんは、みかん畑に行く時に実家でお風呂に入ったりしていたが、最近は高齢のため、みかん畑に行くことも出来ず、ここ数年空調程度に行くだけで誰も使っていない。
- 畑は荒地で親戚に管理を任せている。最近、上下水道工事の為、市から依頼されている業者に駐車場として貸していると聞いているが、費用を取っているか解らない。
- 親は両親とともに高齢の為、そろそろ資産整理も考えているが、何か行動を起こす事は難しい。やるならY様が対応しないといけないが、神奈川県で仕事も生活もしている為、対応が難しい。
3.解決のポイント
- 先ず土地と建物の状況を把握する必要がある。
- 遠方の為、協力ルートが無い。現地へ行くのも費用が掛かる。
- 農地があるので農地転用が必要。
- もし売却するなら実家の建物は使って欲しくないと親が言っている。
- 売却するにあたり、残地処分・解体・測量がある。
- 畑は、市の業者に駐車場で貸しているので、貸借契約が発生しているので解除が必要になる。
- ご両親が高齢の為、相続が発生する可能性がある。
4.売主・買主と協力の元、同時売却が成立
4-1.遠方、および事故物件のため不安要素が大きかった
先に記載した通り、場所が愛媛県松山市なので、弊社で対応出来るかどうか検討する必要がありました。またご両親が高齢の為、今は何とか動けるが早めに対応する必要がありました。
依頼者のY様は仕事から資産価値は解っていたが、神奈川県に居住しているのでどう対応していいか解らない状態。
そしてご兄弟がお亡くなりになった事実があるので、事故物件としての扱いになるのか不安要素が大きかった為、何も出来ない状態で今に至ると言う現状。
4-2.事故物件のため、水面下で複数業の入札方式をとる
- 先ずは、現在ある資料から机上査定額を出して、Y様と一緒に現地を見に行き、隣地境界や建物の現状、残置物等の量、畑の状態、賃貸借契約の状態などを把握しました。
- 現地で依頼できる業者等のルートを確保する為に、弊社のネットワークで信頼できる現地業者とタイアップして進めていく事にしました。
- Y様やご両親と話しあまり情報公開しないで欲しいという事になった。
そのため事故物件としての状況を考え、複数業者の入札方式で売却するという方法を取り水面下で売却する方向で進めた。
- みかん畑は、山の中でかなりの傾斜地にあり、固定資産税評価も低い為、そのままにする事にした。
- 畑の賃貸借契約は、期日を決め解除して貰うように話しを進めた。
- 残地処分、解体業者、測量についても業者を選定していく事を決めて、見積りを取る事にした。
4-3.母屋と離れ、倉庫、畑の同時売却に至る
- みかん畑はそのままで、母屋と離れ、倉庫、畑の同時売却というかなり厳しい条件だが、複数社の業者や一般企業も含め、アプローチをした所、纏めて買ってくれる業者が見つかった。そして、条件交渉の中で建物解体は売主側、測量は買主側でやる事が決定、契約に至った。
- 契約後、仮測量図が出来て、隣地との同意も取れると言う確信が得られた後に、建物の残地処分、建物解体を解体業者に依頼、昔の建物なので井戸や浄化槽が出てくる可能性があり、最初の見積り内に抑えて貰うように交渉。また解体費用についても売買終了時の残金が入った中から支払うと言う形にして貰い、事前に売主が費用を負担するリスクを軽減した。
- 測量に時間が掛かったが、何とか全ての立会いも終わり登記を依頼したタイミングで解体業者に残置物処分と解体を依頼、案の定、井戸や浄化槽が出て来たがそれも最初の交渉通りに見積りの費用内で収まった。
- 農地転用については、農業委員会へ書類を提出するも、農業委員会に登録されている小作人名と登記名が違うと言う事で、必要書類を揃え直し、再度農業委員会へ書類を提出、無事農地転用を認めて貰えた。
- いくつかの困難や壁を乗り越え、やっと引渡し日が決まったとなった時に、隣地から昔譲渡した土地を「所有者が変わるなら返せ」と言われるトラブルが発生したが、売主・買主と協力の元、毅然とした対応する事で無事に引渡しが終了した
5.不動産相談コンサルタント:山田のコメント
今回の件は、今の時代背景を反映したケースだと思います。
今の時代を反映するストレス社会での葛藤の中、自らの命を絶ったご兄弟の方、その現実を受け入れられないご両親。
そして地方ならではの人間関係を目の当たりにする一方で、自分の未来に希望を持って故郷を離れる事を選択したY様。
20年以上という時が流れて行く中でご両親の老いと同時に、今まで潜在的な問題だったものが顕在化したのだと思いました。
今回は、もしかしたら相続が発生してしまうという状況が、今まで先延ばしにしていた問題に対して向き合う良いタイミングだったのかも知れません。
しかし、このような問題は、人の高齢化や、今の仕事の在り方、人間関係の在り方から見ると、ほんの一部なのかも知れません。早ければ早いほど対応出来る事もあると思いますので、色んな葛藤があると思いますが、是非お気軽にご相談頂きたいものです。
そして、今回は本当に地元の業者さんを含め多くの方にお力添えを頂きました。お互いを信頼し協力関係が出来たので無事、引渡して言う結果に辿りつけたのだと感じます。皆様には本当に感謝でしかありません。
売主様の長年にわたる心のわだかまりも綺麗になった事だろうと思います。