債権付き住宅を相続した人の不動産売買のご相談

債権付き住宅を相続してしまった不動産売買のご相談|神奈川県藤沢市 A様からの不動産相談

今回は神奈川県藤沢市A様からの不動産売却のご相談です。

このページの目次

  1. ご相談内容
  2. 相談時の状況
  3. 解決のポイント
  4. 予期せぬ債務付不動産を相続
    4-1.亡くなった息子様の債務付マンションと事業の銀行債務を法定相続
    4-2.遺産分割協議書・資金計画の作成と任意売却の交渉
    4-3.A様の姪に協力をしてもらい、僅かばかりの毎月支払いで全てが解決
  5. 不動産相談コンサルタント:山田のコメント

1.ご相談内容

A様の、B氏は生前事業を起こしており、銀行からの借入があった。

また住宅ローンが残っており団体信用生命保険の有効期限が切れている為、B氏が亡くなったが住宅ローン債務が残ってしまっている。B氏は部屋の中で亡くなっており、隣人に発見されたが、いつ亡くなったが分からない。

A様は高齢で施設に入所しており、事故物件で負債の残っているマンションをどう処分したら良いか分からない。売却し債務を無くしたいのだがどうすれば良いのか、というご相談です。

2.相談時の状況

介護付き老人ホーム

  • A様は介護付き老人ホームに入所中で亡くなったB氏の他に子供は居ない。
  • B氏の生前やっていた事業の銀行借入が1,000万残っている。
  • B氏が所有していたマンションの住宅ローン債務が1,500万位残っている。
  • B氏がマンション内部で発見から約2カ月位前に死亡。

3.解決のポイント

A様の代理になってくれるような人はいるか。

  • A様の資産はどのくらいあるか、債務を払えるだけあるのか。
  • B氏が亡くなった時の状況。
  • マンションの査定額はいくらか。
  • 銀行と住宅ローンの支払い状況はどうなっているか。

4.予期せぬ債務付不動産を相続

予期せぬ債務付不動産を相続

4-1.亡くなった息子様の債務付マンションと事業の銀行債務を法定相続

隣人が異臭がするという事で、B氏を発見した。発見した時には亡くなってから既に2カ月が経過。更に警察が介入。

その後、色々調査をした結果、A様が老人ホームにいることが分かり、連絡が来てからどう対応したらいいか分からないまま数カ月が経過してしまった。

A様は息子が突然亡くなってしまい、債務付のマンションと事業の銀行債務を法定相続してしまった。

A様は高齢ではあるが、頭はしっかりしている。ただ介護付老人ホームに入所しているので自由が利かない為、代理人を探さないと手続きが出来ない。

銀行債務と住宅ローン債務について、支払いはされておらず放置状態だった為、督促が頻繁に届いていた。

4-2.遺産分割協議書・資金計画の作成と任意売却の交渉

  1. まずは、相続人を確定する為、司法書士に頼み、遺産分割協議書を作成、相続手続きをする事にした。
  2. A様が債務をどう返済していけるかの道筋を立てる為、資金計画を作成する事にした。
  3. 事業資金を借りている銀行には事情を説明し、どのようにして返済していくか相談する必要がある。
  4. 住宅ローンを借りている銀行へは任意売却に協力して貰う為、交渉をする必要がある。

4-3.A様の姪に協力をしてもらい、僅かばかりの毎月支払いで全てが解決

  • A様の姪に協力をしてもらいながら、司法書士に本人確認、戸籍謄本を取得して貰い遺産分割協議書を作成、マンションの相続登記まで終わらせて貰った。
  • A様は不動産や有価証券の資産は持っておらず、年金のみの生活で施設の費用も年金で賄っている。その為、A様は高齢という事もあり、残った残債務については最低額にして貰い、一生かけて払っていく事にした。
  • 事業資金の債務を負っている銀行へは事情を話し、1,000万円の債務を年金から毎月3,000円づつ払っていく事を約束した。
  • 住宅ローン債務については、債権譲渡され債権回収会社と話し任売をする事にした。氏の死亡の原因は不審死である事から実際には事故物件になるか分からなかったが、事故物件と言う事でマンションを査定300万円台で査定した。その後、債権回収会社と相談して最低額の850万円で売却して欲しいと依頼を受け、850万円で買主を募集した所、すぐに買主は見つかった。
  • 住宅ローンの残債は約650万位残ったが、債権回収会社と話し毎月1,000円づつ支払うことにした。
  • 全ての手続きが終わり、僅かばかりの毎月の支払いで済むことが出来た。A様にとって息子さんの死は悲しい出来事だったが、全てが解決した事で死を受けいれ、今では残りの人生を息子さんの分も出来るだけ生きたいと話してくれた。

5.不動産相談コンサルタント:山田のコメント

山田武久

今回のケースは、予期せぬ債務を高齢者が背負ってしまう、コロナ禍の中で今後増えて行くだろうと思われるケースでした。

自分自身の余生を静かに過ごしたいと考えていたA様が、突然の息子さんの不慮の死から思いもかけない債務を背負ってしまった。言わば、天国からいきなり地獄へ落されたような感じだったと思います。

コロナ禍で老人ホームは面会等がなかなか出来ず、姪の方の協力を得て何とか解決することが出来ました。

B氏と同じ経営者として、自分自身に何が起こるか分からない、ですので会社の債務は日常から保険の内容等を常に把握し、万が一の事があっても周りの人に迷惑が掛からないように対処が必要だな。と改めて考えさせられました。

また、今回は銀行担当者や債権回収業者の担当者にも助けられました。心より感謝致します。

皆様の善意のおかげでA様もきっと長生きして頂けることだと思います。