再建築不可物件を相続した不動産売買のご相談

再建築不可物件を相続した不動産売買のご相談|神奈川県横浜市のK様からの不動産相談

今回は神奈川県横浜市K様からの不動産売却のご相談です。

このページの目次

  1. ご相談内容
  2. 相談時の状況
  3. 解決のポイント
  4. 建築確認を所持しておらず、分譲業者は倒産している状態からの問題解決
    4-1.地下車庫に2つの大きな問題を抱えている
    4-2.地下車庫の名義をK様にするか、使用承諾書を取得するという事が絶対条件
    4-3.地下車庫の使用承諾書を取得する方法で解決
  5. 不動産相談コンサルタント:山田のコメント

1.ご相談内容

K様が育った家をお父さんから10年くらい前に相続したが、ずっと賃貸に貸しており

賃借人が出たので、家を修繕してまた賃貸に出すか売却するか迷っている

というご相談。

K様は不動産を購入するのが趣味で複数所有しているが、自分達も高齢化してきているので早めに資産を整理したい気持ちもある。という事でした。

2.相談時の状況

  • 以前住んでいた賃借人が犬を飼っており建物内部はボロボロ、床が抜けていてとても住める状況ではない。賃貸をしようとすると修繕しないといけないが、あちこちが痛んでおり、かなりの高額になる為、費用対効果が合わない。
  • 一見すると地下車庫のある2階建ての戸建である。でも建物と土地の謄本が有り、通常全く問題が無いように感じたが、構造物としての地下車庫の登記が無い。
  • 北東の角地で建築基準法上の道路に接道している。
  • 役所で建築確認台帳を確認すると、地下車庫は別の人の名義で建物建築以前に建築確認を取得しており、建物も地下車庫も検査済証が無い。
  • 地下車庫の建築確認は隣地と一体で建築確認を取得している。

3.解決のポイント

  1. 賃貸は採算が合わないので売却する事にする。
  2. 土木事務所の建築指導課へ行き、見解を聴取した所、地下車庫が隣地と一体の構造物となっている為、建て替えの場合に隣地の承諾書が必要。また建物と土地の所有者はK様であるが、地下車庫の登記が無く、地下車庫建築時の名義は他人の為、建て替えの場合に地下車庫使用の承諾書が必要。
  3. 現状のままでは地下車庫について隣地の承諾が取れたとしても地下車庫建築時の名義人からの承諾が取れないため、再建築不可。銀行ローンも通らない状態。
  4. 建物登記簿の表題部に構造物として地下車庫が無いので、建築当時の理由付けとして建築確認を取得する必要があるが、K様は書類を保管しておらず、地下車庫建築時の分譲業者は倒産していた。
  5. 現状では再建築不可の為、住宅ローンも通らないので売却が出来ない。

売却できたとしても、ほとんど無価値になってしまうので何とか承諾書を取得する必要がある。

4.建築確認を所持しておらず、分譲業者は倒産している状態からの問題解決

不動産の問題解決

4-1.地下車庫に2つの大きな問題を抱えている

子供の頃から長年普通に住んできた住宅を相続し、10年以上も賃貸に貸していたので全く問題は無く、売却等が出来ると思っていた。

しかしながら、賃貸か売却か相談に来たら、後日思いもかけない事に、地下車庫に2つの大きな問題がある事が分かった。

  • 一つ目は地下車庫を建築した当時、隣地と一体で建築確認の許可を取得していた為、K様所有の方だけ建替える場合には隣地と切り離す為か承諾書が必要になる。
  • 二つ目としては、建物の建築確認名義人と地下車庫建築当時の名義人が別の為、建て替えの際に地下車庫名義人から使用承諾書が必要になる。

そして、地下車庫名義人を探そうとしても所有者のK様は建築確認を所持しておらず、分譲業者は倒産している状態。

4-2.地下車庫の名義をK様にするか、使用承諾書を取得するという事が絶対条件

  • 先ずは建築指導課と協議し、どうすれば建築確認が取得できるようになるか確認をした所、「地下車庫の名義をK様にするか、使用承諾書を取得するという事が絶対条件である」と言う答えまで頂きました。
  • 分譲業者が倒産していた為、当時の測量士を探したところ、測量士が知っており法人は倒産していたが、その代表者は現在も個人で、細々と営業している事が分かった。
  • 地下車庫を共有している隣地の所有者へ事情を説明する為、直接訪問した。

4-3.地下車庫の使用承諾書を取得する方法で解決

物件を調べていった結果、現状では再建築不可であることが分かった訳だが、建築指導課の担当者と協議した結果、使用承諾書があれば建築確認が取得出来る事まで分かった。隣地を切り離して立て替えるのは地続きになっている以上、物理的に不可能なため、地下車庫の使用承諾書を取得する方法で解決を図る事とした。

地下車庫建築当時の測量士から分譲業者の社長へ連絡をして貰い、直接伺って事情を説明、建築確認の控え等、当時のものが何か無いか探して貰ったところ、建築確認の控えを持っていた。

また地下車庫の使用承諾書を欲しい旨を伝えると、始めは印鑑代で300万円を要求されたが最終的には100万円の印鑑代で承諾してくれた。

隣地の所有者へは直接訪問し事情を説明した所、お互いにメリットがあると理解してくれ費用等はかからず、承諾書を交わす事を快く承諾してくれた。

これでやっと再建築の出来る住宅になった為に売りに出したら、相場より安いせいかすぐに買主が見つかり、無事ローンも通って引渡しが出来た。

5.不動産相談コンサルタント:山田のコメント

不動産相談コンサルタント:山田

今回の件は、一見何の問題も無い、どこにでもある普通の売却だと思っていました。

それを調べていくうちに問題点が解り、それも書類上の問題点ですので一般の人は、ほとんど判らないかと思います。もしかしたら不動産屋でも、あまり判らない人が居るかもしれないくらいのレベルでした。

時間は掛かりましたが、この状況を知らないまま売買すると、瑕疵になり損害賠償問題にも発展する内容ですのでとても、怖い事だと思います。

しかしながら、昔は建築確認取得の手続きが、かなりいい加減だった為このような住宅は少なくありません。資産として相続したものが実際にはほとんど価値が無かったという事は結構ある事です。

今回は弊社の担当者が建築に精通していたことと、多くの経験から導き出された不動産屋の嗅覚と言うべきものから解決出来た事と思います。

それにしても、今回は分譲時の会社の社長が建築確認の資料を持っていてくれた事は相当運が良かった事だと思いました。二つとして同じものは無い不動産、そんな不動産をお客様のご要望に合わせ徹底的に調べ上げる日頃からの姿勢が、全てを整えて調和することで解決に至った案件だと感じました。