生活保護需給に伴う任意売却のご相談|神奈川県大和市のT様から不動産相談
今回は神奈川県大和市のT様から福祉関連でのご相談です。
目次
- ご相談内容
- 相談時のご夫婦の状況
- 解決のポイント
- 生活保護受給者の資産整理
– 夫婦で生活保護を受給
– 役所と連携し、時間をかけてご夫婦に説明
– 思いもよらぬご主人の急逝
– 司法書士・地主と連携し任意売却が成立 - 不動産相談コンサルタント:山田のコメント
ご相談内容
現在、生活保護を受けている老夫婦二人の住んでいるお住いが、生活保護受給規程に基づき、資産は売却し、売却資金の一部を役所へ返納しないといけなくなってしまった。
「どうすれば良いのでしょうか」というご相談です。
相談時のご夫婦の状況
- 80代の夫婦二人のみで住んでいる。
- 奥様は難病にかかり歩く事が出来ない。
- ご主人は病気がちで寝たきりの状態。
- 自宅は借地権で、建物がご主人の名義になっている。
- 築年数が100年近い建物の為、老朽化が激しい。
- 建物が未登記である。
- 猫がいる。
- 毎月生活保護費を受けているため、売却したお金で市に返済しないといけない。
- 時間がかかると返済額が増える一方なので早めに売却しないといけない。
- 息子は居るが、障害を持っており施設に入所していて、息子も生活保護を受給している。
解決のポイント
- 老夫婦とのコミュニケーション・信頼関係がとても重要。
- 生活保護なので引越先の福祉施設も生活保護に対応出来る所を選ぶ必要がある。
- 奥様が難病で歩くことが出来ないので、引越先の福祉施設でも医療対応が必要。
- 家が広く、荷物が沢山あるため片づけ費用が高くなる。
- 本人達が高齢の為、サポートしてくれる人が必要。
- ケアマネージャーとの連携が必要。
- 借地権なので、売却にあたり地主の承諾・承諾料が必要。
- 買主様の引越しのタイミング、他業者と連携し協力を得る必要があるため、しっかりした事前説明が必要。
- 成猫の引き取り手を探す必要がある。
- 施設入居の際に連帯保証人が必要。
生活保護受給者の資産整理
夫婦で生活保護を受給
奥様とご主人お二人で生活保護を受給しており、資産を売却し生活保護費への返納をする必要がありました。
また、ご主人は生まれてから80年以上、今の家に住んできているので、出来るなら不動産を手放したくないとの事でした。
しかし、ケアマネージャーは月1回来てくれるが、不動産の事については全く分からず、サポートしてくれているのはご主人の妹さんだけ。
更に奥様は難病で歩けない状況で、耳が遠くて良く聞こえない状態でした。
役所と連携し、時間をかけてご夫婦に説明
- 最初ご主人に売却の話しをしたところ、「絶対売らない!」と言われており、一切の話しを聞き入れてくれなかった。
- 先ずは複数社より、売却時の査定額を提出した。
- 解体費、残置物撤去費の見積りを業者に出して貰った。
- 役所と連携して売却にあたり費用等を時間をかけて夫婦に説明した。
思いもよらぬご主人の急逝
今回の一連のご相談を承っている最中、ご主人が急逝。相続が発生してしまった。
司法書士・地主と連携し任意売却が成立
相続について、建物は未登記であるので、登記の必要は無いが相続人が複数の為、司法書士と連携し、本人確認・遺産分割協議書を作成。
奥様は難病で動けないため、医療付き介護施設を専門業者と探し、お金が無くなってもそのまま生活保護に移行して住める施設へ引っ越しをする事になりました。
また自宅売却をしないといけない為、地主へ事情を話し、買い取って頂きました。
猫に関しては介護関係者の知り合いの方に引き取り頂いております。
不動産相談コンサルタント:山田のコメント
今回のケースは老夫婦で体が悪く、資産があるのに生活保護を受けているという、典型的な社会問題が浮き彫りになったケースです。
時間は掛かりましたが、奥様の幸せと今後の生活が出来るだけ負担が少なくなるようにする為、最善を尽くしました。
親族はもちろんですが、役所や介護関係者、司法書士の先生、片づけ・解体業者等、周囲の方々に最大の善意で協力して頂き、無事に引っ越しをすることが出来ました。
社会現象化しつつある生活保護者の自宅売却問題
こういった高齢者や生活保護者の自宅売却問題は水面下に数多くあると思います。
今後は役所もそうですが、関係者を含め、全ての方の協力を得て解決していかねばならないと感じました。
生きにくい、住みにくい環境を如何に住み良く変えて、生きて行くかが問われる時代になってきたのだと感じます。
奥様の幸せを心より願います。